こんばんは、氷太です。
痛ましい事件を見てしまった。
「近所のスーパーのレタスがクソ高い」とか、そんなどうでも良い記事を書いてる場合じゃない。
労働環境を苦に、電車に身を投げ込み亡くなるという内容だった。
昨年6月に神戸市の洋菓子メーカー「ゴンチャロフ製菓」の男性社員が自殺したのは長時間労働とパワーハラスメントが原因だったとして、男性の母親が今年9月、西宮労働基準監督署に労災申請した。母親は「息子を苦しめた会社の責任を問いたい。若い社員を使い捨てにするような社会であってほしくない」と訴えている。【生野由佳】
また会社の食い物にされ、犠牲者が生まれてしまったのか・・・。
同じく食い物にされる側だった元社畜として怒りが込み上げてくる。
だが感情だけでは、会社という存在に太刀打ちする事は到底できない。
同じく会社を相手取り、戦っている人間として。
この事件の問題部分を冷静に見つめて綴っていこうと思う。
ブラック企業案件なのか、パワハラ案件なのか?
会社側には使用者責任というものがある。
後に会社側がその従業員に補填を求めるかはケースバイケースだが・・・。
就業中にある従業員が勝手に起こした行動であったとしても、責任を免れる事はできない。
だがハラスメントが存在している=ブラック企業(違法行為を常態化させた会社)とは一概には言えない。
企業としての問題なのか、特定の従業員の問題なのか。
もしくはハラスメントが慣例として形成されていて、どちらにも問題があると言えたのか?
今ある情報からできる限り区分し、原因はどこにあったのかを探るとする。
会社側は法令順守はしていた?
このように記載されている。
タイムカードを基に残業時間を調べたところ、15年9~12月に月87~109時間の超過勤務があった。毎日新聞
過労死ラインを超えている。
じゃあブラック企業じゃないか!と言いたい気持ちに駆られるが、まだそうとは言い切れない。
過労死ラインは単なる目安でしかなく、超えているからといって罰則が生まれるわけではない。
- 未払いの割増賃金があった
- 日常的に残業が行われており36協定に反していた
通常の残業と同じように、この2点に当てはまっていれば見事なブラック企業だ。
このソースによると、割増賃金の未払いについては記載されていない。
カイシャの評判サイトを見てみるとこのように記載されていた。
あまり売れてないから、残業はバレンタイン前迄ない。残業代は満額出るがベテランは単価が高い為残業自体若手に比べると少なく、単価の安い若手中心で構成されている。勤務時間も定時で帰る事はほとんど無くサービス早出、残業が当たり前
残業代に関しては満額出ていたようだ。
だが気になる点がある。サービス早出、残業が当たり前という点だ。
実は氷太はこの情報を見た時に
「自殺の原因にパワハラはあった、だが長時間労働は日常的にあったのか?」
「17年に亡くなった人の理由として、15年の労働時間を根拠に挙げても難しいのでは・・・。」
と疑問に思っていた。
情報元の記載では、過労死ラインを優に超える残業があったのは15年9~12月。
20歳男性の入社は14年。だが14・16年の9~12月の残業時間はどうだったのか?
それが明記されていない、日常的に残業があるような記述がないのだ。
例えば36協定で結べる残業代は年単位の限度は360時間。
15年9~12月の間が如何に過労死ラインを超えていたとしても・・・。
その他の月に残業が全くないように調整されていたのであれば、何ら違法性がない。
だがこのカイシャの評判にはサービス早出、残業が当たり前と書かれている。
また別の情報には就業時刻1時間前に出勤されるのが慣例だったとされている。
早出を強要されられていたと考えられるので、これも立派な労働時間だ。
それに加え残業は当たり前に行われていたという事実。
- 36協定に反していた可能性が非常に高い。
- 早出の賃金は未払い
この2点に関してブラック企業だと言えるだろう。
だが36協定に関しては今ある情報だと、15年度のみにしか当てはめる事ができない。
やはり「長時間労働を苦にして」はこの情報だけでは断言できない。
14年・16年、そして亡くなった17年度の特に直近の労働時間がどうだったのかが鍵になるだろう。
指導かパワハラだったのかは明白
20歳男性が浴びせかけられた代表的な言葉を羅列していこう。
- 「辞めたら、お前の高校からは採用しない」
- 「社長出勤やなあ」
- 「また牛のえさをつくってるんか」
他にもあるんだろうけれど、判明しているのがこの3点。
大変素晴らしい会社ですね、早く淘汰されて下さい。
このセリフを吐いた人間は、一体どんな立場だったのか?
「仕事を強要しているのに、仕事を非難する」というスタンスがよく分からない。
もしかすると複数人から色々な事を言われたのかもしれない。
「辞めたら、お前の高校からは採用しない」
汚い、この言葉は汚すぎる。
果たしてその権限が本当にあったのかはさておいて、この言葉が持つ力は脅迫でしかない。
この言葉を吐かれた時に、全てを投げ出せる人であったならばこんな悲劇は起こらなかった。
「分かりました、むしろ犠牲者が減ると思うので喜んで辞めさせて貰います。」
そう皮肉たっぷりに言い返してやれば良かった。
だがそれはあくまで部外者の言葉でしかない。
この言葉を吐いた人間は20歳男性の弱い所を見抜き、突いたんだろう。
そしてこの言葉があったからこそ、20歳男性は辞めるに辞めれなかったんだろう。
そんな縛るような言葉を投げかけるのが、指導だとは言わせない。
部下は私物じゃないんだ。
「社長出勤やなあ」
これは就業時刻より1時間前に出勤する事が慣例化されているこの職場において、20歳男性が30分前に出勤した際に投げかけられた言葉だ。
一言いいかな?
そんな1時間前に出社して、何してんの?
清掃作業とか?だとしても、それは業務時間内に行うものでは・・・。
労働って、労働力を提供する代わりに賃金を得るもの。
雇用契約って、この部分が大前提だろう?
自分の意志による行動ならまだしも、賃金出ないのに出社する必要がどこにあるのか——。
早く出社して、遅く退勤する事が美徳。
もう止めようよそんな考え、そんなの上っ面だけで内面を伴った評価じゃないだろ。
本当は皆もオカシイと思ってて、酒の席で無意味な早出の事も愚痴ってるんだろう?
慣例だから仕方ない、じゃなくって悪しき慣例は撤廃しろよ・・・。
「社長出勤やなぁ」じゃねえよ、脳みそ何で出来てんだよお前は・・・。
いっぺん「契約」に関して勉強して来い!使役権限外の行為を強要してんじゃねーよ!!
「また牛のえさをつくってるんか」
これに関しては初めは意味が分からなかった。
規格外のチョコレートを牧場に提供する為の作業で言われた言葉のようだ。
「牛ってチョコ食べるんだ・・・」と見当違いな事を考えていたのだが・・・。
どうやらこれは大声で叱責されるように浴びせかけられた言葉らしい。
どうして怒られなきゃいけないのか全く分からない——。
脅迫めいた事はする、サービス早出は強要する、業務を行うと叱責される。
何なんだ、この会社は・・・。
製菓会社側は反論を主張
「時間外が80~100時間を超える時間外労働の事実はなく、パワハラも認識していない。亡くなる数日前には職場の仲間と食事に行くなど元気にしていたと聞いている」
このように工場長は語っている。
だが残念ながら、パワハラの成立には自分にその意思があったかどうかは関係ない。
自分が行っている行動がパワハラに当たるなんて、万に一つも思ってない。
オレの意見として、客観的な意見を述べさせて頂こう。
完璧なパワハラです。
これがパワハラじゃないとすれば、どんな行為がパワハラだと言うのか。
会社の責任を明らかにすることが私の使命
「息子は優しく真面目な性格だった」と語る母、和美さん。
「ありがとう、助かるわ」
洗い物をしてくれた事に対する感謝の気持ちが、息子への最後の言葉となってしまった。
辛い想いを胸に秘め、戦う姿勢を見せている。
労働とは犠牲の積み重ねによって成り立つものなのか?
幸せとはかけ離れた事なのか?
そんな訳がない、そうであって良いハズがない。
母親もまた、この一連の騒動が生み出した犠牲者だ。
こんな悲しい話を『よくある話』で済ます事なんか出来ない。
まとめ
不買運動なんかも行われており、ゴンチャロフは非常に厳しい現状に立たされている。
その買いたくない気持ちは分かる。だがそれを布教するのは安易な行動ではないだろうか?
パワハラに加担していない、犠牲者側の従業員達の首を絞める結果にも成り得る行為ではないか?
この事件により既に信頼は地に伏し、労災認定のカウントダウンも始まっている。
今できる事は、彼が命を捨ててまで作っていたチョコレートを買わない事ではない。
「若い社員を使い捨てにするような社会であってほしくない」と願う、母親の意志。
それを胸に刻み、後押しする事ではないだろうか?