こんばんは、博愛主義者の氷太です。
いや~、世の中ってほんに広いものでござりますなぁ・・・。
色々な人間が居て、手を取り合って、支え合って生きている。
世界って素晴らチィッ!!
雲一つない晴れやかな空模様をしていた、つい先日の事。
ダッダーン!ボヨヨンボヨヨンと映画について調べていると、こんなサイトが目に入ってきた。
その名も『旦那デスノート』。
何やこのドス黒いサイトは・・・!?
旦那デスノートってオイッ!!
グーグルもサイバーポリスも一体何やってんのおおおおお!?
映画『P.Sアイラブユー』について調べてたのに、何でこのサイトに辿り着くんだよ!
あ、でも旦那を主人公としたデスノートの同人サイトかな?
ちょっと見てみよう。
そんな幸せな脳みそを持つオレは、この時思いもしなかった。
このサイトに寄せられた1つ1つの願いには一遍の輝きもなく、怨念によって構成されている事に。
旦那デスノートとは?
開始数秒で分かった、「あ・・・コレはヤベーサイトだわ」と。
文字通りこの世から消えて欲しい旦那を持つ奥様達によって成り立っているサイトだった。
2chとは違って気軽に書き込めるものではなく、会員登録をしなければ書き込めないようだ。
そんな面倒なシステムにも関わらず、人気を博しているのか書籍化までされているらしい。
各投稿にはブログと同じく、タイトルが設けられている。
まずはそれらを軽く見ていったのだが・・・絶句してしまった。
オレが心底震えた、ブラッディハウリングなタイトルをご紹介しよう。
- まだ生きてる・・・。
- お前の居場所は地獄
- 役に立つのは保険金だけ
- 骨の髄まで搾り取る
- 永遠のお別れありがとう
どれもこれも、小説の帯に書かれても何ら違和感のないインパクトがある。
コイツぁタダモンじゃなさそうだぁ(白目
特に「まだ生きてる・・・。」のネットリとした間の怖さと言ったらない。
心の底から旦那を憎んでいる事が分かる。
ガールズちゃんねるや毒女ニュースでそこそこ免疫が付いたと思っていたが・・・。
どうやらまだまだオレは未熟者だったようだ。
恐怖の余り鳥肌が止まらない。
心なしかパンツが湿り気を帯びているような気がする。
そっとパンツに手を差し伸べると、まるでそこはパンタナール大湿原だった。
しっかりとグションヌッ!と濡れてやがる。
だが幸いにもこの程度は今までにも数回経験している。
問題ない、このまま内容を見ていくとしよう。
旦那デスノートの内容
ザっと見た所、感情がエクスプロージョンしている投稿が多かった。
「私は善・夫は悪!だから消えてくれ・・・世界の為に!」
といった一方的な論調で、実例を一切交えていない投稿まである。
規模がデカ過ぎな気がするが、世界レベルで認知されたご夫婦なんだろうか?
そんな感情の赴くままに落書きしている投稿に関しては、何故それほどまでに感情を爆発させているのか何とも理解し難い。
恐らくこの旦那デスノートに寄せられている投稿の半数は、誰かに分かって欲しくて書いているのではなく、ストレスの発散と自分の正しさの再確認のためなんだろう。
だが勿論グウの音も出ない程、奥様が正しい!と思える主張もある。
奥様の努力が踏みにじられるパターン。
奥様が理不尽を受けるパターン。
特にコレかな・・・どう考えても奥様が正論だわ。
旦那の稼ぎで生活できてるそれは感謝してる。
だが、女の代わりに家事、子育て、学校行事、習い事すべてこなす事できるやついるか??
お金のやりくり、将来の貯蓄。女は先まで考えてんだよ!!
仕事終わって出来たご飯食べて楽でいいですね。
主婦は年中無休24時間休みなし。時給0円。
何かあれば夜中も対応。家族の為に頑張ってる。
そんな女房に感謝もできねーのか?
えらそーな態度とってるクソ旦那。
この世からまじできえろ!!
そして中には旦那の歯ブラシで排水溝の掃除をし、そのまま元に戻すという強者な奥様も。
私は悪くない、頑張ってる。旦那が——!!
そう主張したくなる気持ちは分かる。
余りにも報われて無さ過ぎるからだ。
そんな悲痛な叫びが、数多くの投稿に存在している。
怪我を負った時に堪らず痛いと声が出るように。
病気になった時に苦しいと呟くように。
声に出す、表現するという事は、必ずしも現状を好転させる為の手段として用いられるのではなく、時に自分を生かす為に無意識下で漏れ出てしまうものなのかもしれないと思い立った。
そう考えると・・・だ。
感情を覇王色の覇気のようにここで発散した人は、もしかしたら救われたのかもしれない。
このような場がなければ潰れてしまっていたかもしれない。
常人には受け止めきれないこの負の感情は、マザー・テレサでさえ見て見ぬ振りするレベルだ。
普段願ったり言ったりしてはいけない事を好きなように書く事によって、現状は変わらないながらも、少なからず鬱憤晴らしにはなっただろう。
まとめ
このサイト寄せられている1つ1つの投稿には、理不尽に耐え、辛抱し、今日を明日を懸命に生きている人達の声にならない声だった。
投稿者を支持する気持ちにはなれないが、批難する気にも到底なれない。
「貴方のしている事とその考えは間違いですよ。」と言えるわけがない。
この奥様達も、被害者なんだ・・・。
胸が重たくなって、窓を開け外の空気を吸う。
目の前にあるビルの窓が夕日に照らされ、血で赤く染まっているかように見えた。
支え合うという基準を超えて、依存の領域に達してしまったが為に生まれた悲劇達。
今は憎悪の念しか抱く事ができないでいても、いつしか満たされる事はあるんだろうか?
これまでに一瞬でも幸せを感じた事はあったんだろうか・・・?
やがて日は沈んでいき、辺りが藍色に変わっていく。
光を失いつつある世界に包まれながら、オレはこう呟いた。
「オレは結婚しない。・・・あえてね。」
その行き場のない擦れた声は、誰に届くわけでもなく色を付けずに風に溶け、散っていった。
最後のくっさいポエム、要らなかったかな?